赤ちゃんが産まれて、にしむら小児科に来られる方へ


当院では赤ちゃんの成長と発達をサポートすると同時に、それを阻害するような感染症のコントロールや、アレルギーの予防、先天性の疾患、視機能等のチェックを行っていきます。

だいたいの受診スケジュールは下記の通りです。
赤ちゃんを連れて来るのは大変ですので、移動手段のない方は送迎を利用してください。

生後2ヵ月 ロタ B型肝炎 ヒブ 肺炎球菌 4種混合 を接種してください。

原則として予防接種は月齢が小さいほど効果が高く、副作用も少ないものです。
生後2ヵ月になればできるだけ早く接種を開始してください。多種類のワクチンを接種することには何の問題もありません。

予防接種で来院されるときは、1歳まで毎回身長と体重を測定します。身長と体重は赤ちゃんの成長の基礎データです。計測記録と接種したワクチンは当院の電子カルテに入力されますので、ずっとその記録を閲覧することができます。こうしておけば、成長途中に起こるかもしれない様々な病気の際にも参考にできます。

母乳栄養のお子さんはビタミンK、ビタミンD、鉄分が足りなくなることを意識しておいてください。くわしくはこちらのパンフレットをどうぞ。

この時期に“出べそ”が見つかることがあります。正確には臍ヘルニアと呼ぶのですが、あまりに大きくなると、皮膚が伸びて臍の形が悪くなったり、手術しないといけなくなることもあります。簡単な処置で防ぐことができますので、予防接種のときに相談してください。

※ロタのワクチンはできるだけ生後3ヵ月までに接種開始してください。生後15週を過ぎると接種できません。

生後3ヵ月 ロタ B型肝炎 ヒブ 肺炎球菌 4種混合 を接種してください。

生後2〜3ヶ月の際のいずれか(院長のいるとき)で心臓、腹部(肝臓、腎臓、膀胱)、股関節をエコーでスクリーニングします。何らかの内臓の異常が隠れていないかをチェックするためです。検査代は無料です。エコーで全てが分かるわけではありませんが、成長や発達に関わる重篤な疾患が隠れていないか、小さいうちに見ておくということです。

生後4ヵ月 ロタ ヒブ 肺炎球菌 4種混合 を接種してください。

生後3〜4ヵ月までにアトピー性皮膚炎があるかどうかが分かります。皮膚バリアが弱いのがアトピーの原因ですが、アレルギーを作ってしまうと治りません。そこで、湿疹の強い子は体の中でアレルギー体質を作っているかどうかの指標(TARC)を血液検査でチェックします。TARCが高ければ、アレルギー予防の治療を行います。早期から治療すれば食物アレルギーはほぼ完全に予防可能です。

生後5ヵ月 BCG を接種してください。

小さいころから保育所に預けたい、という方は当院の保育所“つくし”をお勧めします。小規模保育所ですので手厚いですし、急な病気になっても病児保育に預けることができる等、たくさんのメリットのある保育所です。
※定員18名です。空きがあるかどうかを確認下さい。

離乳食については こちらにアドバイスを書いてます。参考にして下さい。


生後6ヵ月 日本脳炎 を接種してください。

この頃から赤ちゃんの活動範囲が増えてきます。落下や誤嚥事故などが増えますので事故に気を付けてください。接種時に事故予防のサイトのQRコードをお渡ししますので、目を通しておいてくださいね。

生後7ヵ月 日本脳炎 を接種してください。

予防接種の合間にも様々な感染症(主に風邪)、湿疹、その他気になることがあれば受診してください。特に感染症と湿疹はできるだけ当院を受診されることをお勧めします。

検査ができず、感染症の診断ができない施設を受診すると、風邪でも抗生物質が投与されてしまうことが多いのですが、赤ちゃんに飲ませると将来の病気を増やしてしまいます。原則として2歳を過ぎるまでは、抗生物質は飲ませないようにして下さい。救急等で抗生物質が処方された場合、翌日当院を受診されれば、必要かどうかを判断させて頂きます。

湿疹ですが、血液検査や皮膚テスト等でアレルギーが疑われて様々な食物制限を指示されてしまうことがあります。実際は乳児期に“食べさせない”ことが食物アレルギーの原因です。この時期に適切に食べさせるかどうかで、将来のアレルギーが決まってしまいますので、今後の子育ての負担が増してしまいます。食事で気になることがあればご相談下さい。

生後10ヵ月 後期健診と同時にB型肝炎を接種してください。

後期健診で重要なのは、貧血のチェックと視機能です。赤ちゃんはお母さんのお腹の中で鉄分をもらっていますが、乳児期の後期になると貯蔵されている鉄が少なくなってきます。現在の離乳食メニューは鉄分が少ないため、約10%のお子さんは治療を要する貧血があります。貧血があまりにひどいと発達に影響する可能性があります。また目の異常は見た目だけでは分からず、専用の機械を使わないと発見できません。遠視、偏視、強い乱視等があれば、片目で見てしまうので、使わない方の視力が伸びなくなってしまいます。視機能のチェックはあまり普及していませんので、見逃されがちです。後期健診はできるだけ当院で受けてください。

予防接種の際、お子さんの身長と体重を測定すれば、下図の成長曲線をお渡ししています。お子さんの成長記録というだけでなく、今後の様々な病気の診断や治療に役立ちます。




1歳 麻しん風しん ヒブ 肺炎球菌 水痘 おたふく を接種してください。

1歳になったらすぐに麻しん風しんのワクチンを接種してください。ここまで接種しておけば、危険な感染症からほぼ守ってもらえます。おたふくは任意接種ですが、値段も高くないのでできるだけ接種してください。おたふくにかかると難聴の原因となるからです。

1歳くらいからお子さんを保育所に入れられる方も多いと思いますが、必ず感染を繰り返します。熱が上がれば通常の保育所では預かってもらえません。他に預けるところがなければ病児保育室をご利用下さい。なお、かかりつけのお子さんは、保育所からの突然の呼び出しの場合はお迎えサービスをご利用下さい。。ご両親が安心して仕事できるように、家庭をサポートさせて頂きます。それがお子さんのよりよい成長と発達につながるからです。

1歳6ヵ月 4種混合 日本脳炎 水痘 を接種してください。

このときに、2度目の視機能のチェックを行います。乳児期の検査で正常でも、その後に遠視や乱視が進むお子さんがいるからです。できるだけ早期に発見して、弱視(視力が育たない)への進行を防ぎます。
※ワクチンをバラバラに接種している場合、水痘ワクチン時に検査しています。

乳幼児期の予防接種は、ここまででほぼ終了です。ご苦労様です。現代の医療水準で、可能な限りの疾病予防と病気の発見を行っています。きっと強いお子さんに育っていくでしょう。


その後も、感染症、アレルギー、発達、怪我、火傷、様々な子育て上の困難はご相談下さい。火傷は湿潤療法を行っているので、痛くないしきれいに治ります。また、当院では感染症に対して正確な判断ができますので、風邪等で効果のない薬を処方することはありません。

例えば小さい赤ちゃんに“心配だから”と、抗生物質を飲ませてしまうと、将来の病気が増えますし、乳幼児で咳止め、鼻止めの薬を飲ませるのは効果がないばかりか危険です。

※子どもの咳に咳止めを飲ませると、症状が長引くことが分かっています。

風邪にはいかなる薬も無効ですが、どうしても風邪薬を欲しいって人もいますね。ですが、何も薬を飲ませないその方が、赤ちゃんの熱、咳、鼻で慌てないですむのです。いつも薬をもらっている保護者の方は、風邪は薬で治すものと思い込んでしまっているので、熱や咳などの症状が出たときの不安感が強くなってしまいます。夜中でも救急病院に走る人の大半は、そういった思い込みからです。冷静に考えれば、風邪は自然治癒を待つしかないのですが、普段から過剰な投薬を受けていると、そう思えないようになってしまうのです。これが風邪で薬を処方することの最大のデメットです。

小児科医を長年やっていると、そうやって薬漬けになっているお子さんを山のように見てきました。子どもにとって決して良いことではありません。

言葉が遅いお子さん、こだわりが強く扱いにくいお子さん、その他にも発達に何らかの問題が出てくる場合は2歳から3歳で相談してください。発達支援ルームでご家庭のサポートと、お子さんの発達を伸ばすような療育を行っていきます。

※その他、色んな障害をお持ちのお子さんも、できるだけ対応できるようにしています。

小学校や中学校、高校生になっても様々なトラブルはあります。何でもご相談頂ければと思います。18歳になれば小児科医の役割はほぼ終わったということです。結婚して赤ちゃんができればまた連れて来てください。(来ちゃダメ、ってことじゃないですよ。)

お子さんを育てていくうえで、年齢に応じた様々な困難が待っていますが、ご両親と一緒に考えて、ひとつひとつ解決していきましょう。